同じTPS62913を使った基板が他社から販売されていましたので簡易的に比較してみました。
条件を合わせるために入力は12V、出力は3.3Vにしています。この基板は2.2MHz, スペクトラム拡散がON固定となっています。
・他社販売品、基板が小さく部品が整然と並んでいます。こちらはVRで出力を可変できるようになっています。3.3Vに調整しました。
▼10:1のパッシブプローブを使い[グランドリード]を使わず最短距離で測定しています。プローブで小さい信号を見るにはこのようにしなければなりません。
▼入力=12V, 出力=3.3V,発振周波数=2.2MHz, スペクトラム拡散=ON, オシロの帯域=1GHz,無負荷
10mV/DIV ノイズすごく多いです。普通のDC-DCコンバータであればこの程度のノイズは許容範囲です。
・こちらが当社のモジュールになります。
※電圧軸、時間軸、サンプル数の条件は上と同じです。
▼入力=12V, 出力=3.3V,発振周波数=2.2MHz, スペクトラム拡散=OFF, オシロの帯域=1GHz,無負荷
※10:1のパッシブプローブを使い上記と同じように最短距離で測定しています。出力をショートした状態とあまり変わりません。
▼プローブの先端でショートした時のプローブとオシロ自体のノイズでこれだけ観測されるからです。
ご覧のように10:1プローブでは電圧軸が10mV/DIVとなりこれ以上感度を上げることができないので同軸ケーブルで直接オシロスコープに接続し1:1で測定する必要があります。1:1なら電圧軸は1mV/DIVになるので1mV以下の信号も見ることができます。
こちらのオシロは垂直軸8ビット分解能なので粗いです。最近では12ビット高分解能モデルもありますのでそういった製品ならより正確に観測できると思います。
▼計測の続編(その2)も作成しました。
https://strawberry-linux.com/support/62913/552886
■他社販売品のまとめ
・他社販売品はたくさんコンデンサがついているのにノイズが多いです。
・低ノイズ・低リップルとうたっているのに波形であるとか、ノイズなど現物でテストしたデータを何一つ公表されていない。データの20μV低ノイズといいつつ実際は1000倍位のノイズがあるのに、製造する側も転売する側もそんなの知らんぷりというのが気になります。
・部品を隣接して配置するな!とデータシートに書かれているのですが、隣接して設計するとこういうふうになるということです。それだけDC-DCコンバータは敏感でセンシティブな回路であり奥が深いものです。
・ご覧のように3.3V出力として動作はしますが、同じコンバータICでもmV以下ノイズは明確な違いが出ます。これはプリントパターンや配置であるとか、部品の特性、基板材料などによるものです。こういった違いが最終製品のノイズ性能、受信感度、音の良し悪しなどに影響してくると思われます。同じ回路図、同じ部品だけでは同一性能は作れない、カタログのスペックを出すのは難しいということを理解していただければと思います。
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