普通の安定化電源を使用すると次のようになります。
LT8714の電源には20V, 負荷には10Vの安定化電源を接続します。間には電流制限のため抵抗を入れています。CTRLピンを調整することで10V以上(電流の吐き出し)と10V以下(吸い込み)ができます。LT8714の出力が10V以上になると吐き出しとなりますが、実験で使用した10V電源は電流を吸い込まない構造なので電流は流れません。LT8714の出力が10V以下になると負荷の安定化電源10VからLT8714側に電流が吸い込まれます。そしてその電流はLT8714側で消費されないので20Vの安定化電源に戻り電位が上がります。20Vの電源は制御ができなくなり電圧異常で強制停止します。注:安定化電源では異常を検出して停止する製品と、できない製品があります。ACアダプタのような民生機器では逆流すると破損します。
◆接続図

▼黄色:LT8714の出力, 水色:安定化電源(20Vで動作させています), 緑:抵抗に流れる電流
・黄色のLT8714の出力電圧を下げていくと出力の10Vの電源よりも低くなり、出力の10VからLT8714に逆流してくることになります。

●一般的な安定化電源は出力電圧が低下すると上げる機能がありますが、出力電圧が上昇すると下げる機能はありません。バイポーラ電源と呼ばれる電源を使用すれば吐き出しと吸い込みの両方ができるので上記波形とは異なり、負荷の電流を吸い込みバイポーラ電源に還流させているのがわかります。黄色の出力電圧が10Vを下回るとそれに比例してLT8714が電流を吸い込みます。そして20Vの電圧出力がわずかに持ち上がっているのがわかると思います。なおLT8714の吸い込みできる電流はmax1Aまでです。
▼黄色:LT8714の出力, 水色:バイポーラ電源(20Vで動作させています), 緑:抵抗に流れる電流

▼同じバイポーラ電源のまま今度は出力を負電圧で動作させてみます。負荷には-10Vの電源を接続します。黄色のLT8714の出力が-10Vよりマイナス側に大きい場合は電流は流れず、-10Vより0V方向に小さくなると負荷の-10V電源から電流を吸い込むことになります。吸い込み電流の最大は1Aでそれ以上は吸い込みません。
▼黄色:LT8714の出力, 水色:バイポーラ電源(20Vで動作させています), 緑:抵抗に流れる電流(上に振幅すると負荷からバイポーラ電源に逆流している)

|