SPI信号はI2Cとは違いオープンドレインではなくプッシュプルなので立ち上がり、立ち下がりが鋭いはっきりした信号が観測されます。しかしLTC6820のMISO,MOSI出力は設計上オープンドレインとなっており、Top側は抵抗プルアップとなっています。そのため立ち上がりは急峻ではありません。これはICの仕様なのでどうしようもありません。
この商品では基板内で1kΩでプルアップしております。通常はこれで問題ありませんが、SPIバスの配線が長い、フラットケーブルを長く引き回すと負荷容量が大きくなり、1kΩのプルアップ抵抗では立ち上がりがなまる可能性があります。その場合はプルアップ抵抗を追加してより小さいプルアップ抵抗値に変更する。もしくはフラットケーブルではなくコネクタでLTC6820モジュールとお客様側基板をダイレクトに直結します。
3.3VのSPI電圧の場合内蔵の1kΩの抵抗でLTC6820は3.3mAのSink電流となります。プルアップ抵抗の最小値はLTC6820の最大定格は20mAによって制約を受けます。
▼すべてスレーブ側のSPI信号の波形です。
・黄色:クロック, 緑:CS, 水色:MOSI(LTC6820からSPIデバイスへ), ピンク:MISO(SPIデバイスからLTC6820へ)
※水色の信号はオープンドレインのため、波形がなまっています。またフラットケーブル(30cm)での接続によりクロストークが発生しています。

▼時間軸を拡大しました。

▼さらに時間軸を拡大しました。
・黄色のクロックが立ち上がる前に水色のHighレベルが確定している必要があります。そうしないとSPIスレーブデバイスがマスターからのデータを正しく受け取れません。

▼フラットケーブルではなく直接接続するとこうなります。立ち上がりも速く、クロストークもありません。
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