安定化電源では負荷電流を厳密に見ていますので設定によってはうまく起動しないことがあります。これは電源との組み合わせの問題でLT3942の不具合ではありません。
通常の立ち上がりは次のようになります。記事の対象はLT3942[#13942]です。
(1)▼VIN=12V, VOUT=1A VF=約18V
黄色=VIN, 水色=LEDの両端電圧, 緑=LED電流
LEDのVFよりVINの方が低いので昇圧動作により点灯しています。ご覧のように滑らかに起動しています。このときVINの電流は約1.7A

(2)▼VIN=24V, VOUT=1A VF=約18V
黄色=VIN, 水色=LEDの両端電圧, 緑=LED電流
VINの方が電圧が高いので降圧により点灯しています。ご覧のように滑らかに起動しています。

(3)▼VIN=24V, VOUT=1A VF=約18V
黄色=VIN, 水色=LEDの両端電圧, 緑=LED電流
上の(2)と条件は同じですが、このケースの場合、うまくVINが立ち上がっておりません。緑色:一瞬1Aに到達しますが、落ち込んだままになってしまいます。これは安定化電源を24Vに設定していますが、負荷リミットを1A(CC=1A)と設定しています。
24Vで駆動した場合1Aの容量で十分足りるのですが、電源オンから24Vまで出力が上昇するのに時間がかかります。LT3942は3Vから動作を開始しますので、3Vを超えると昇圧動作でLEDを点灯させようとします。昇圧動作では1A以上の電流を引き込もうとしますので、24Vに到達する前に安定化電源の1Aのリミットにひっかかってしまい、安定化電源は出力を絞ってしまいます。そのため安定化電源はCC動作になり、1Aを供給できる電圧この場合3Vにハマってしまいます。EN/UVLOに抵抗を接続して、適切な範囲に入ったら動作するように調整してください。LT3942の不良でも安定化電源の不良でもありません。このような状態が長時間続くとICが過熱して破損する場合があります。

※電源のリミットを大きくして起動時の電流を乗り越えるようにすれば点灯はします。
昇降圧型は動作範囲が広いためこういう問題があります。だからUVLO, OVLOという端子(機能)がICに用意されています。
このような問題は安定化電源では再現性が高く明確に分かりますが、ACアダプタやDC-DCコンバータを電源をにする場合も起きうる問題です。
上記は一応点灯し続けていますが、ACアダプタなどでは一瞬点灯する。消える。また点灯するのように点滅動作になることもあります。長時間そのままにすると壊れる可能性が高いです。
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